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2006年4月27日ブローチでブログ開始。 2014年3月26日ライブドアに移転。 音楽、読書、健康etc、いろいろ書いてます。

Tag:村上龍

 *1型糖尿病で闘病を続ける香奈子と、彼女を支える健児。 二人の約4年間の交際を描いた小説です。
 ストーリーは香奈子の弟から彼女の死を知らせるメールが健児に届くところから始まっていて、健児の回想で二人の出会いや交際の様子が綴られていくという内容です。
 「心はあなたのもとに」は香奈子が健児に宛てたメールの末尾につけていた言葉です。

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 村上龍の小説はいつもディテールがしっかりしているので、本当に知人が亡くなってしまったかのような喪失感を読後に感じました。

 

 *1型糖尿病 ⇒ 一般的に生活習慣から起こるものは2型糖尿病で、1型は何らかの原因で(自己免疫の異常が要因と言われているがはっきりとしたメカニズムは不明)、膵臓でインスリンが作られなくなってしまう。
 発症は小児期に多い。 初期の自覚症状は喉の渇き、多飲・多尿、体重の減少などだが、進行すると神経障害、網膜症、腎症などの慢性合併症を起こす。
 急性合併症では糖尿病性昏睡を起し、手当が遅れると死亡することもある。 (Wikipediaより)

 久しぶりの読書記事、村上龍の新刊「歌うクジラ」を読みました。
 ハードカバーよりもiPad版で先行発売された小説です。




 帯に村上龍渾身の物語と書いてありますが、本当にこの本凄いです。 「半島を出よ」も凄かったけど更にパワーアップしてます、龍さん。


 ストーリーは22世紀、近未来の話です。


 2022年にグレゴリオ聖歌を正確に繰り返し歌うクジラが発見されて、人類はそのクジラを使って不老不死の遺伝子を作り出す。 そして100年後の日本、不老不死の遺伝子を巡り少年アキラの冒険の旅が始まる。
 アキラは見知らぬ声に導かれるように幾度と無く危機を乗り越え、最終地点の宇宙ステーションに到達する・・・


 結末は内緒にしておきましょう(^^)
 このストーリーの中で重要なアイテムが乗り物です。 アキラはいろんな人の助けを借りながら、トラック、汎用車、飛行自動車、ボート、無限軌道車、宇宙エレベーターと乗り物を変えながら宇宙へと行くのですが、乗り物の細かな描写もスト-リーとは別に楽しめます。 そしてスピード感や窓外の情景が想像力を喚起して面白さが増します。
 村上龍の近未来小説は、実際に起こるかもしれないと思わせるところがあり、現代社会への警鐘の意味もあるのかな? と考えたりしています。


半島を出よ 上 幻冬舎文庫 / 村上龍 ムラカミリュウ 【文庫】
半島を出よ 上 幻冬舎文庫 / 村上龍 ムラカミリュウ 【文庫】 

半島を出よ(下) [ 村上龍 ]
半島を出よ(下) [ 村上龍 ]

 久しぶりの読書記事。
 「半島を出よ」、2005年に出版された、2011年を舞台にした近未来小説です。
 いや~、すごい内容でした。

 2011年の日本はインフレが進み経済破綻をきたしていて、失業率が10%近くになりホームレスが増え、アメリカは中国との国交を深め日本を相手にしなくなっていて、日本の識者や世論は軍拡に傾いているという状態。
 そんな日本を北朝鮮が狙う。 プロ野球開幕戦が行われている福岡ドームに、北朝鮮の特殊部隊9人が侵入し観客を人質にする。 2時間後には第2陣が到着し福岡は完全に制圧されてしまう。
 北朝鮮サイドは”その部隊は反乱軍なので一切関知しない”という声明を出し、在日米軍は静観したまま。  政府は危機管理センターを立ち上げるが有効な具体策は何も打ち出せず、北朝鮮コマンドの本州侵入を防ぐために九州を封鎖してしまう。 これは福岡に独立国家を作ろうとしている特殊部隊(高麗遠征軍=コリョエンセイグンと名乗っている)にとって好都合だった。
 一方でコリョを倒そうと密かに計画を立てているグループがあった。 福岡の海岸近くの廃墟ビルをアジトにしているイシハラグループという集団だ。 このグループはイシハラという不良中年のもとに社会から逸脱してしまった少年たちが集まってできたもので、兵器、爆薬、猛毒を持つ生き物のスペシャリスト、ブーメランの使い手などがいる。

 エンディングのイシハラグループ対コリョの対決までの間に、さまざまな事が起こり息もつけないような内容でした。
 目を引いたのは北朝鮮の内部事情、猛毒を持つカエルや昆虫、爆薬の特製など非常に詳細に描写されていたことです。 取材元を明かさないという条件で取材許可を貰った方もいたそうです。
 その章によって兵士が語り手になったり、少年が語り手になったりするのですが、全編クールなタッチで描かれていて、それがリアリティを感じさせました。
 

 平成9年初版の小説です。


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 画像がぼやけてしまいました。 
 
 ・あらすじ = 映像関係の仕事をしている42歳の青山は7年前に妻と死別している。 高校生の息子の進めもあり再婚を考えるが、彼の取った方法はオーディション。
 芸能関係の仕事をしている友人に協力してもらい、映画のヒロインのオーディションを行い再婚相手を決めるというもの。

 4000人の応募者の中で青山の目をひいたのは24歳の山崎麻美。 彼は麻美の不思議な魅力に惹かれのめりこんでゆく。 麻美も彼に心を開いてゆくが、彼女が求めたのは完璧な愛だった。 義父からの虐待を受けて育った麻美はトラウマから逃れられなく、青山への愛はやがて狂気へと変わる。



 ラヴ・ストーリーでいてサイコホラー。 所々にわずかな異様さを感じさせながら、わりと淡々と進んでいき、最後は背筋がぞっとする様な結末でした。

 さあ次は「沈まぬ太陽」に挑戦ですっ!

 

 平成10年に出版された村上龍の小説。
 

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 <あらすじ> 

 二十歳の青年ケンジは外国人相手に性風俗ガイドをしている。
 年の瀬の12月29日、アメリカ人・フランクからガイドの依頼を受け会いに行くと彼からは異様な雰囲気を感じる。 彼の顔は、売春をしていた女子高生が手足と頚を切断され歌舞伎町のゴミ収集場に捨てられていたという事件を思い起こさせた。

 ケンジは大晦日までフランクと行動を共にすることになり、この間に凄惨な殺人現場を目の当たりにする事になる・・・・・
 

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 「限りなく透明に近いブルー」以来、村上作品はかなり読んできたけどこれが一番衝撃的かもしれない。 そして少し不快な気持ちにもなった。 それは殺人の描写があるからではなく、確実に退廃が進んでいるこの国を投影しているように思えたから。 ”外国人フランクが見る日本”という形でこの国を表現したように思う。

 

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